柔道は日本発祥のスポーツであり、勝負だけでなく精神統一や礼儀を重んじるもので、近年世界中に普及しています。
もちろん、勝負においても力技に頼らない「柔よく剛を制す」事で日本人らしく勝利を積み重ねてきて、後述のオリンピックのテレビ放送において他の競技を圧倒するくらいの中継があります。
それだけ、日本は柔道に対する関心と、発祥の地としてのプライドが強く出ているスポーツではないでしょうか。
この記事では、リオオリンピックにおける柔道の日本代表やルールといったオリンピック情報についてお伝えする事で、オリンピックの柔道の応援の補足になればと思います。
オリンピック柔道のルールに関して
この項目では、テレビ中継で柔道を見ていても、技や判定について知らないと面白さが半減してしまうと思いますので、普段柔道をやらない人のために、オリンピックにおける柔道のルールについてお話していきます。
実は、オリンピックにおける柔道は何度もルール改定が行われ、その度に毎回混乱を招き元柔道日本代表の篠原信一選手が世紀の大誤審によって金メダルを逃すという前代未聞の事態が生じてしまいました。
オリンピックにおける柔道にルール改定は、日本柔道が強すぎるという背景から、ロンドンオリンピックではその煽りを受ける格好になってしまいました。
もともと、日本は一本をいかに決めるかを重要視していますが、ヨーロッパはポイントをいかに獲るかを重要視しているため、柔道に対する価値観が違います。さらに、国際柔道連盟(IJF)によって、近年は競技性重視になっているのと、ルールがヨーロッパスタイルに改正されています。
日本が国際柔道連盟(IJF)での権力を持っていないのと、海外にルールに対する実権を握られているのが原因です。
やはり、どのスポーツでも言えますが、ルールを決めたところがどうしても有利になってしまうのがこの世の中の実情なのかなと思います。皆さんも、スポーツ以外にも会社などでも似たような経験をお持ちではないでしょうか。
オリンピックルールの概要
柔道は、正方形の試合場の中で2名が柔道着を着て組み合い、制限時間5分間で技をかけることでポイントを稼ぎ相手を倒します。
制限時間5分以内に一本を取った場合、もしくは総合勝ち(技や指導、反則負けといった一本以外の要素での勝ち)をした場合は、その場で試合が終了します。
両者の得点に優劣なく、指導の数も一緒で試合時間が終了した場合は「ゴールデンスコア方式」による3分間の延長戦を行います。制限時間内に、「効果」以上の得点を獲得する、もしくは「指導」が与えられた時点で勝敗が決定します。
ゴールデンスコア方式でも決着がつかない場合、主審および副審による「判定」により「優勢勝ち」を決定します。
技判定の種類とポイントについて
柔道用語でよく聞く「一本」や「技あり」「有効」はすべて技判定になりますが、それぞれの技判定の条件について説明します。また、技判定によるポイントについても説明します。
一本
相手を制しながら「強さ」「速さ」「背中が大きく畳につくように」の3条件が揃うように投げたときに出される技判定です。
または、相手が発声あるいは合図で「参った」を表現するか、抑え込み技で20秒抑え込んだときも一本になります。
一本を取るとその地点で試合終了になります。柔道の醍醐味は何といっても、相手からいかに一本を取るかにかかっています。
技あり
相手を制して投げ、一本の3条件のうちどれか1つが部分的に欠けたときに出される技判定です。
または、抑え込み技で15秒以上、20秒未満抑え込んだときも技ありになります。
技ありを2回決めますと、合わせ技で一本となり、そこで試合が終了します。
有効
相手を制して投げ、一本の3条件のうちどれか2つが部分的に欠けたときに出される技判定です。
または、抑え込み技で10秒以上、15秒未満抑え込んだときも有効になります。
有効は2回決めても、技ありに昇格するという事はなく、何度決めても有効のままです。
指導
標準的ではない組み方をしたときや、場外に出たときなど、軽微な違反行為をしたときに出る罰則になります。
指導を2回受けると「有効」、3回受けると「技あり」、4回受けると反則負けで試合が終了します。
試合の進め方
オリンピックの柔道はトーナメント方式で行われます。各階級の選手達はAとBの2ブロックに分けられます。
ベスト4までは、各ブロックでトーナメントを行います。
敗者復活戦
ベスト4の選手が決定した時点で行われます。ベスト4の選手と直接戦って敗れた選手が出場できます。
例えば、Aブロックの準決勝に進んだC選手とD選手に1回戦で敗れたE選手(C選手と対戦)とF選手(D選手と対戦)は敗者復活戦に進む事が出来ます。
各ブロックの敗者復活戦を勝ち上がった、計2名の選手が3位決定戦へと進出します。
この方式は、トーナメント方式の欠点を補う目的で設定され、1回戦で強豪の選手とあたり敗れてしまうという事を無くそうという目的です。つまりリーグ戦であれば何試合か出来ますが、トーナメントは1発勝負であるため、くじ運で左右されるのを少しでも無くそうという考えからなっています。
準決勝戦
各ブロックのトーナメントを勝ち上がったベスト4の選手で準決勝戦を行います。
勝った2名の選手は決勝戦へ、負けた2名の選手は3位決定戦へと進出します。
3位決定戦
敗者復活戦を勝ち上がった2名と、準決勝で負けた2名の選手が戦います。ここで勝利した2名が3位(銅メダリスト)となります。
Aブロックに所属する選手はBブロックの選手と戦い、同じブロック同士の選手が戦うことはありません。しかし、3位決定戦というからには、きちんと勝者同士でもう一度戦い3位を1名決めるべきだと思いますが、体力的な部分を考慮しているのかわかりませんが、少し謎だと個人的に思います。
決勝戦
準決勝で勝ち上がった2名で戦い、勝者が1位(金メダリスト)、敗者が2位(銀メダリスト)になります。
リオオリンピック代表選考方法
柔道のオリンピック選考方法は、国際柔道連盟(IJF)ランキングシステムによるオリンピック出場資格を有した選手から、国内ポイントシステムと試合内容を加味して選出がおこなわれます。
柔道をしたことない人から見れば、大会の順位による国内ポイントシステムのみで決めたらいいのではという意見があると思いますが、柔道の勝敗は一本、技あり、有効の技判定によって決まりますが、技判定が同じの場合、審判による旗揚げによって決まるため、どうしても試合内容を重要視しなければいけません。
そのため、いくら優勝しても一本が1回も取れないと消極的なイメージがつきますし、一本を確実に決められる選手を選出したい協会の意見は理解出来ると個人的に思っています。
国際柔道連盟(IJF)ランキングシステムとは
国際柔道連盟(IJF)ランキングシステムとは、2009年1月から施行される柔道国際大会で与えられるポイント制度で、各大会の成績に応じて選手個人にポイントが与えられ、ランキングを作成するシステムの事です。
選手はポイント数によって順位をつけられ、オリンピック出場枠は男子上位22か国まで、女子上位14か国までと決められており、ランキング内に同じ国の選手が複数含まれる場合は出場枠を満たすまで繰り下げられます。
出場1カ国1代表の原則は変わらないため、ランキング内に同じ国の選手が複数含まれる場合、選考はその国に委ねられます。
国内ポイントシステムとは
国内ポイントシステムとは、国内のポイント対象大会で獲得したポイントの合計点と国際大会で獲得したポイントの合計点のことです。基本的に順位によってポイントが振り分けられます。
国内ポイント対象大会(講道館杯、全日本選抜柔道体重別選手権大会、全日本選手権大会(100 ㎏超級、78 ㎏超級))
国際ポイント対象大会(国際大会で獲得したポイントの上位から3つが対象)
国内ポイント対象大会で全日本選手権大会で100kg超級と78kg超級に限定されているのは、全日本選手権のみ無差別級で大会が行なわれるため、基本的に体重が重い選手のための大会という位置づけのためです。
そのため、100kg超級と78kg超級のみ、全日本選手権大会が終了してから内定者が発表されます。他の階級は全日本選抜柔道体重別選手権大会が終了した段階で内定者が発表されます。
国内ポイントシステムは、2年間のスパンであるため、毎年各個人の2年以上の大会のポイントは消滅し、ポイントも変動します。また、ポイントは1年以上~2年前の大会は50%換算になります。
また、対象大会の順位のみでなく他の様々な要素も加味されます。これらの要素は、大会のレベル、組合せ、対戦相手、出場選手の様相等を大会ごとに評価し傾斜配点がおこなわれます。
リオオリンピック日本代表選手(2016年7月3日現在)
男子柔道代表 | ||
階級 | 代表選手 | 所属 |
60キロ級 | 髙藤 直寿 | パーク24株式会社 |
66キロ級 | 海老沼 匡 | パーク24株式会社 |
73キロ級 | 大野 将平 | 旭化成株式会社 |
81キロ級 | 永瀬 貴規 | 旭化成株式会社 |
90キロ級 | ベイカー 茉秋 | 東海大学4年 |
100キロ級 | 羽賀 龍之介 | 旭化成株式会社 |
100キロ超級 | 原沢 久喜 | 日本中央競馬会 |
女子柔道代表 | ||
階級 | 代表選手 | 所属 |
48キロ級 | 近藤 亜美 | 三井住友海上火災保険株式会社 |
52キロ級 | 中村 美里 | 三井住友海上火災保険株式会社 |
57キロ級 | 松本 薫 | 株式会社ベネシード |
63キロ級 | 田代 未来 | コマツ |
70キロ級 | 田知本 遥 | ALSOK |
78キロ級 | 梅木 真美 | 環太平洋大学4年 |
78キロ超級 | 山部 佳苗 | 株式会社ミキハウス |
テレビ放送
8月7日(日) フジテレビ 女子48キロ級・男子60キロ級決勝 3:30~6:30
8月7日(日) テレビ朝日 女子52キロ級・男子66キロ級予選 22:00~25:00
8月8日(月) NHK 女子52キロ級・男子66キロ級決勝
8月9日(火) TBS 女子57キロ級・男子73キロ級決勝 3:30~6:30
8月10日(水) NHK 女子63キロ級・男子81キロ級決勝
8月11日(木) NHK 女子70キロ級・男子90キロ級決勝
8月12日(金) NHK 女子78キロ級・男子100キロ級決勝
8月12日(金) テレビ東京 女子78キロ超・男子100キロ超予選 22:00~25:00
8月13日(土) NHK 女子78キロ超級・男子100キロ超級決勝