登山をする上で、ザック(登山用リュック)も重要ですがザックの中身も重要です。特に、荷物の詰め込み方 いわゆる『パッキング』が一番大切になります。
このパッキングというのは技術であり能力です。装備の整理技術と整理能力を身につけ、いざというときに必要な荷物がササっと出し入れすることが、より快適で楽しい登山を生み出します。
また、パッキングは、登山だけではなく、旅行、車の中、自分の部屋、そんなことにも応用できる整理のコツと思います。今回はそんな登山のパッキングについて解説していきます。
パッキング技術が必要な訳とは?
登山には色々必要な荷物があり、それらを乱雑にザックに詰め込むだけならパッキングとは言えません。
例えば、乱雑にザックに詰め込んだとします。すると、必要な時に取り出したい荷物がなかなか取り出せない…という状況は想像がつくと思います。私も山でよく見かける状況です。
乱雑に詰め込んだ荷物を全部ザックから出して「あれ?〇〇確かに持ってきたはずなんだけど…」と探しているうちに、広げた荷物が風で飛ばされて崖の下に…という場面も見たことがあります。
このようにならない為にも、荷物を整理しながらザックにパッキングすることが必要とされます。
パッキングをわかりやすくする為にやるべきこと
では、具体的にどのようにパッキングをすれば良いのでしょうか?
荷物というのは各単体でザック内に収めていっても上手なパッキングにはなかなかなりません。
ザックは大きな袋、その中にいくつかの小さな袋を作り、種類別に荷物を分けて詰めてゆくのです。そうすることにより、特定の荷物が取り出しやすく、また入れやすくなります。この小さな袋は色分けしたりするとより分かりやすくなります。
荷物の種別方法とは?
色々な荷物がある中、グループ分けするのは難しいことだと思います。登山経験者でもその種別方法は経験からどんどんグレードアップしていきます。ではどのようにグループ分けするのが良いでしょうか?
例えば、濡れても良いか悪いか、使用頻度が高いか低いかで分けるとすると、
A.最悪の場合濡れてよいモノ
B.絶対に濡れては困るモノ
に分ける事が出来ます。
次にそれぞれA.B.
a.よく使うモノ
b.あまり使わないモノ
に分類します。
そうすると「A-a」「A-b」「B-a」「B-b」と4つに分けることができます。
このようにザックの中身を4分割するだけでもかなりわかりやすくなるのです。
※分け方はあくまで例なので必要に応じて分別すれば良いと思います。
ザックの中の小袋、どんなのを購入するの?
上記で記述したザックの中身を小分けする「小袋」。通常この小袋はスタッフバッグといい、ジッパーなどで開け閉めする口の大きなナイロン製のバッグのことをいいます。
これにも大小様々な大きさがあり、3L、5L、7L、10L、15Lなど(単位はリットルもしくはリッター)、必要なモノを種分けしてから大きさ(容量)を決めて購入する方が良いです。
このスタッフバッグは外側が濡れてもすぐに乾く素材や完全防水といった優れモノまであります。当然濡れると困るモノなどは完全防水のスタッフバッグにするべきです。
最初からいきなりスタッフバッグ購入が難しい方は、ジップロックでも代用できます。
ザックに荷物を詰め込むとき、順番は決まっているの?
この手の質問はよくあることですが、実は登山経験者でも答えにくく悩むそうです。
プロ登山家となれば、日帰り登山からテント泊登山まで、ある程度はその登山のバリエーションによって持ち物リストがあり、当然パッキングも経験から導いたベストなパッキング法があると思います。
でもプロはアマチュアと持ち物一つ一つが違いますし、気持ちの余裕や状況判断力も違うのです。参考になるようで実は参考にならない事が多いようです。
そのため、登山初心者や中級者の方は、最初のうちはとにかく種分けした小袋をザック詰め込んで、実践で試してみるのが一番です。
パッキングをきちんと習得するまでは実践経験が必要で、実践経験を積むと結局はプロ登山家と同じパッキング方法になっていくと思います。しかし、そこに到達するまではプロセスがあり、プロセスの途中では役に立たないことが多いです。
そうは言っても、初心者がいきなり高いレベルを求めるわけにもいきませんので、基本のパッキングのアドバイス5箇条を以下にまとめました。
●重たい荷物はできるだけザックの上の方に(ザックが重く感じないように)
●あまり必要で無いもの(出番がすくないもの)はザックの底の方に
●出番が多いであろう小物はザックの取り出しやすいポケットに
●ザックを背負ったときに左右のバランスが悪くないように詰め込む
●ザックの中に詰め込む荷物はできるだけコンパクトで軽量化を意識する
最後に
パッキングは、登山経験から生み出される技術であり、人それぞれの能力(知恵)がベストなパッキングだと思います。
いくら経験者に教わっても、必要なモノがどのタイミングで必要になるかは十人十色であり、自分で積み重ねる経験こそがパッキング技術と言えます。
あまり難しく考えず、荷物を取り出しやすく、ザックの中が整理されており、背負ったときに体への負担が少ない詰め方、ができるかがパッキングのコツといえます。
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