プロ野球において、ピッチャーの評価は勝ちがつくことです。
そのためには勝利投手にならないといけませんが、この勝利投手になるためには勝利投手の権利を得る必要があります。
テレビ中継をみていると、
「〇〇投手、リードを保って5回を投げ切ったので勝利投手の権利を得ました」
「〇〇投手、勝利投手の権利を残してマウンドを降りました」
「〇〇投手の勝利投手の権利が消えました」
「今は、〇〇投手に勝ち投手の権利がついていますね」
など、先発投手が5回を投げ終わった時、ピッチャーが交代した時、点が入ってゲームが動いた時に頻繁に耳にします。
両先発がそれぞれ完投すれば、勝利投手、敗戦投手は明確に分かりますが、ピッチャーが途中で交代したり試合展開が目まぐるしく変わると、一体今は誰が勝利投手の権利があるのか分からないという人は多いです。
この勝利投手の権利ですが、状況によっては、中継ぎがぼろくそに点を取られても、ピッチャーが1球も投げなくても勝利投手になる事があります。
こうなると、勝利投手の権利が難しく感じてしまいますが、ポイントをしっかり理解していれば決して難しくありません。
この記事では、勝利投手の権利について分かりやすく解説していきます。
勝利投手の権利の前に最低限知っておきたい4つのこと
プロ野球は9回(延長12回まで)で試合をおこなっており、5回終了地点で試合が成立します。
そのため、①勝利投手の権利が発生するのは試合が成立してからになります。
勝利投手の権利が最初に発生するのは、②試合が成立してからリードしているチームで登板していた投手です。
そして、勝利投手の権利は発生してから、投手の交代、投げた回数(イニング)、失点関係なく、③リードを守れなかった場合、勝利投手の権利は消えます。(同点になると試合が振り出しに戻るという考え)
勝利投手の権利が消えた場合、②の状態になれば再び勝利投手の権利が発生します。
最後に試合に④勝利したチームの投手の誰かは必ず勝ち投手になります。
この4つのポイントだけおさえておけば、勝利投手の権利についてはほぼ理解できたも同然です。
先発投手の勝利投手の権利
先発投手の勝利投手の権利を得るためには、最低5回を投げ切る必要があります。
試合が先発ピッチャーが最低5回を投げるのは、5回まで投げないと試合が成立しないため、スコアに関係なく勝利投手の権利が得られないため、その前に降板する事は先発ピッチャーとしての役目を果たしていないとみなされてしまいます。
5回を投げ終えて、勝利投手の権利を得た場合、完投してチームが勝利もしくは投手交代してから登板した中継ぎ投手が、一度も同点もしくは逆転されない状態で試合が終われば勝利投手になれます。
先発に勝ちがつくということは、先発ピッチャーとして責任イニング以上を投げてチームが勝利しているので、直接チームからの評価につながります。
以下に例をあげて詳しく説明します。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R |
A | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 3 |
B | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
試合スコア:Aチーム 3-2 Bチーム
Aチーム先発7回2失点(8回先頭から中継ぎに交代)→勝利投手
Bチーム先発7回3失点(8回先頭から中継ぎに交代)
①勝利投手の権利は試合が成立してから発生
→5回終了時に両先発は交代していないため、先発投手に勝利投手の権利が発生する条件は整っているが、5回終了時(Aチーム0-0Bチーム)なので、この試合の勝利投手の権利はまだ発生しない。
②最初に勝利投手の権利が発生するのは、試合が成立してからリードしているチームで登板していた投手
→6回表にAが1点を加えたので、この瞬間にAチームの先発に勝利投手の権利が発生します。
③リードを守れなかった場合、勝利投手の権利は消えます。(同点になると試合が振り出しに戻るという考え)
→6回裏にBチームが1点取って同点にした瞬間、リードしている状態ではなくなるので、この試合の勝利投手の権利が消滅します。そのあとさらにBチームが1点を加えたので、この瞬間Bチームがリードを奪い、Bチームは先発投手がまだ降板していないため、Bチームの先発に勝利投手の権利が発生します。
Bチームの先発がリードを保ったまま、8回先頭から中継ぎに交代しましたが、ここでまさかの2失点で逆転されました。その瞬間、Bチームの先発にあった勝利投手の権利が消えてしまい、Aチームの先発は8回先頭から中継ぎに交代するのは決まっていましたが、中継ぎに交代前にチームがリードしているので、ここでAチームの先発に勝利投手の権利が発生します。
そのまま、Aチームがリードを保ったまま、試合が終了したため、この試合の勝利投手はAチームの先発投手になります。
中継ぎ投手の勝利投手の権利
中継ぎ投手の勝利投手の権利の発生は、先発投手の勝利投手の権利が消えて、自分の登板時にチームがリードした時です。
中継ぎ投手が勝ち投手がつくパターンは、価値のあるパターンと不名誉なパターンの2種類あります。
価値のあるパターンは、負けている時や同点の場面で、中継ぎとして守備からリズムを作り、直後の攻撃のリズムを作り、逆転するという流れです。負けている時や同点時にマウンドにいくのでモチベーションは上がりにくいですが、ここを抑え続ける事で、リードした場面での登板のチャンスもめぐってきます。
不名誉なパターンは、自分がマウンドにたって、大量失点で先発投手の権利を消してしまい、直後の攻撃で再逆転して自分に勝ち投手の権利が生まれてしまう事です。
そのため、中継ぎ投手は勝利投手の権利を得ても、意外と喜ばないのは、先発投手の勝利投手の権利を消している事が多いためです。
0球での勝利投手になる理由
今まで紹介した条件の場合、0球でも勝利投手の権利を得る事もあります。投手の球数はバッターに対して投げた場合のみカウントされるため、牽制の場合は投球数に含みません。
そのため、2アウトからマウンドに上がり、いきなり牽制でタッチアウトして、その直後に味方が点を取ってそのリードを守ったまま、試合が終了すると勝利投手になります。
この場合は0球勝利投手という事になります。
最後に
勝利投手の権利は一見するとかなり難しく感じてしまいますが、必要最底辺知っておいたほしいこと4つのポイントをしっかり理解すれば、どのような状況でも勝利投手の権利が誰かすぐに分かると思います。
勝利投手の権利が分かれば、テレビ中継だけでなく、新聞やスポーツサイトなどの試合結果の見方も変わってくるのではないでしょうか。
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こんにちは 9/17 西武vs ソフトバンク戦の勝利投手についてです。
先発のウルフ投手がアクシデントの為2回0/3で降板しました。この時点でチームは3点リードしていました。その後武隈投手が1回1/3、増田投手が1回2/3と継投し5回が終了しゲームは一度も逆転されることなく西武が勝利しました。公式記録では武隈投手がホールド、増田投手が勝利投手となっていました。武隈投手が勝利投手になれなかったのは何故でしょうか?仮に武隈投手が1回2/3、増田投手が1回1/3だった場合、武隈投手が勝利投手になっていたのでしょうか?それとも投手交代時点の走者の状況(今回の場合1アウト満塁という場面で交代し無失点で切り抜けたことが評価(公式記録員の主観)によって増田投手が勝利投手の権利を得たのでしょうか?どうぞ宜しくお願い致します。
通りすがりさん。
勝利投手の権利が発生するのは、必ず5回が終了して試合が成立している場合に限ります。
そのため、試合展開に関わらず、武隈投手が降板した時は、まだ試合が成立していないため、勝利投手になることはありません。
増田投手が勝ち投手になったのは、増田投手が降板した時はすでに試合が成立(5回が終了)しているため、リードしている西武の増田投手に勝利投手の権利が発生し、リードを保ったまま試合が終了したからです。
ちなみに武隈投手がホールドになった理由は、に記載していますが、3点以内のリードで登板し、1イニング以上投げているため、ホールドが記録されます。